[第31号:2019-6-30]

本号の主な内容

 

交流試合2019 ヒッティング・ベーシックスタイル試合

 

増田章より

ヒッティング競技を行うには、組手試合を沢山経験するとともに組手型を覚えてください。そして試合を振り返り、自分の戦い方を検討し、改善点を見つけ出してください。そのような修練を繰り返すことで、IBMA極真会館空手道に上達して行きます。次の交流試合は11月ですが、できれば2ヶ月に1回ぐらい試合を行うと、選手の技能が高まると思います。ヒッティングはダメージを受けないので、何回も試合ができます。それがヒッティングの良いところです。

組手型の名称の読み取り方

組手型の名称の読み取り方に修正部分があります。28号以前の組手型は修正前です。今後、全ての組手型の名称(記載方法)を修正します。赤字、下線ありの部分が変更部分。デジタル教本は6月(予定)以降、全リニューアルします。 組手型の名称の読み取り方には規定を設定しています。その規定を理解すれば、名称で大体の組手型の構成が理解できます。組手型は仕掛け手による仕掛け技と応じ手による応じ技(位置どりのための運足ならびに防御技と反撃技)によって構成されています。組手型の名称はその技の構成を増田式の規定法により分類整理しています(この方法は、増田 章の考案、著作物です)。 例: 〇〇〇に対し「〇〇〇受け〇〇〇突き

  1. 〇〇〇に対しの部分は、仕掛け技の名称
  2. 〇〇〇受けの部分は、防御技の名称
  3. 〇〇〇突きの部分は、反撃技の名称」
  4. 最後に(〇〇)として(入り身、退き身、背後取りなど)と記載されているのは位置取り理合を示しています。
拓心武道 修練法(メソッド)は

「制心」ー「制位」ー「制機」の三制一致による「制勝」を目指し

道(天地自然の理法)との一体化

神人合一を目的とします。

 

ワンポイントレッスン

TS方式(アルファと顔面突きありのベータの2種があります)の試合では、突きや蹴りをヒットポイントにクリーンヒットさせれば「技有り」となります。TS方式は完全ポイント制です。ダメージを与えないで、正確な突き蹴りを当てれば「技有り」として得点となります。試合は、防具を着用し、身体へのダメージを極力なくして行います。その上で、相手による突き蹴りを巧みに防ぎ、自己の突き蹴りをいかに巧みに当てるかという技能(スキル)を競います。※詳細は、競技試合規定をご覧ください(IBMA極真会館増田道場の会員のみ) また、TS方式にも「一本」という判定基準はありますが、「一本」はボクシング競技のノックアウト、極真スタイルのダメージがある突きや蹴りということではありません。「一本」が主審より宣せられ、試合が終了する場合は、技の効果等により、これ以上試合を続行すれば、競技者の身体に障害を与える可能性がある場合、試合続行の停止という判断のもと、判定基準です。例えるならば、アマチュアボクシングにおけるRSC、レフリーストップコンテストと同様のものです。具体的には、①審判による試合続行停止の判断ならびに、②相手との得点差が6点以上となったとき、となっています(点差はクラスによって異なります)。

TS方式(アルファ、ベータ)の競技試合規定によるヒットポイント図

 
 

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交流試合2019試合終了後

編集後記   第31号

  2019/6 交流試合が終わり、ホッとしている。 なぜなら、この交流試合では私が考案した拓心武道メソッド(増田式空手メソッド)の柱である組手法の実験でもあったからだ。 組手法の正式名称は「TS方式空手武道競技規程」である。競技の通称は「ヒッティング」である。競技というのは、組手法イコール競技法と考えてもらって良い。その競技は、極真会館が50年以上行ってきた組手法を保管する組手法といっても良い。 私が見るに、極真空手は発展した部分もあると思うが、大まか、かつ乱暴に言えば、退歩している。言い換えれば、武道空手を標榜した、大山倍達先生の理想からは、どんどん乖離して言っている。その辺について、あまり大まかな表現をすると、誤解を招くのは分かっている。だが、私と極真会館の松井館長との対談や、現在、論文をしたためているのでそれを読んでいただければ理解できると思う。ただし、論文は修正中で、まだ発表はしていない。もう少し時間をいただきたい。  私の提唱するTS方式も、道場生に対し伝えてから半年も立っていない。実際は1年ほど前から伝えているのだが、空手のことをあまり知らない道場生にとっては、理解が進まなかった。補足すれば、現在、巷に溢れている、極真空手の真似をした空手競技の技や試合のみを見ていれば、そうなるのも無理はない。

   私は極真空手、伝統空手、防具空手、キックボクシング、ボクシング、柔道、レスリングなどを体験するだけではなく、研究してきている。その情報量から判断するのと同じにはならないのは当然かもしれない。  しかし、他のメジャーな格闘技、スポーツを見て欲しい。一流、超一流には技術の正確性、タイミング(機)や間を制するスキル(技能)の芸術性(制機)、そして、それらの明証生があるではないか。我が空手には、それがないに等しい。それはプロトコルとコードがなっていないのだ。言い換えれば、規程と技術・戦術体系がないに等しい。ボールゲームで例えれば、ボールは1個しかないから、ゲームが成立する。攻防が生まれる。そして、技術と技能が生まれるのだ。空手は、ボールが2つあるゲームの様だ。だから攻撃しかなくなる。攻防ではなく、攻攻だ。テニスで言えば、互いがサーブだけ行っている。サッカーで言えば、互いが2つのボールを持って、別々にゴールを狙っているかの様だ。こんな競技法では、戦術した様な芸術的な技能(スキル)が生まれるわけがない。まずもって、大山倍達先生の創設した直接打撃制を行うものは、技の正確性を基本として欲しい。そのことは技術修行の基本であると同時に、修行の心構えなのだ。それを覚悟している者だけに、武術の試しあいをさせたい。それがIBMA極真会館の思想であり、方向性だ。我が道場生には、もっと深く物事を考えてもらいたい。私にとっては武道もスポーツも遊びではない。自己と生かす道、理法なのだ。しかし、もっと広く情報を集め考えようよ。と言いたい。私は先述した格闘技のみならず、サッカー、テニスなど、他のスポーツの構造、そして歴史も研究している。

 その様な見地から我が極真空手を眺めた場合、残念ながら、武道、スポーツ、興行、教育、あらゆる観点から眺めても、中途半端である。ただし、それは改善すればよくなるという可能性を否定するものではない。むしろ、再構築すれば、十分な発展の可能性とポテンシャルを有すると考えている。  今回の交流試合は、よく見て、審判70点、選手55点、合わせて割ると52.5点が私の評価である。そして、そのスコアが80点を超えれば、より多くの人に受け入れられるだろうと、予測している。しかし、現在はもう少しである。協力道場の理解が5パーセントに近かったこと。我が道場の黒帯の理解も50パーセントほど。もちろん、感覚的な数字であり、根拠はない。  

 その上で今回は合格点だと思っている。だが、より多くの人が理解するには80点ラインを越えなければならない。しかしながら、私のイメージをよくわからないながらも信じ、理解しょうと努力してくれている道場生に、とても感謝している。

 蛇足ながら、空手に関するすべてのことは、いっ時の思いつきで行なっていることではない。極真空手の価値をより高めるために行っていることだ。それには命を賭けて責任をとるつもりである。

 人生も残りわずかだ。なんとしてでも、増田章がどれほどの研究をし、どれほど極真空手を愛していたかを残したい。たとえ、それが批判と取られても。   

 ただし、その愛し方が、否定に見えるかもしれないが、それはその人間の見ているものこそが、偽りの姿で、大山倍達先生が見た夢とは異なることを知らないからだ、と思っている。私は確信を持ってそう言える。断っておくが、今回のTS方式の競技が極真空手にとって変わるとか、思っていない。あくまでも極真空手を補完する修練法として確立したいのだ。 時間が欲しい。だが、体が弱っている、片目にものもらいが出来、10日間ほど治らない。左足も感染し腫れがひどい。現在、薬剤を処方してもらい、服用しているが、完全ではない。身体が弱っているのだろう。それでも、資料を読み込み、メモを取り、映像の編集や執筆でPCに向かっている。

 そんな中、心が癒されるのは、私のいうことを信じて戦ってくれた選手達、そして審判の姿である。詐欺師みたいなことを言うが、増田章はあなた方が思っている以上に努力している。信じて欲しい。ただし、せっかちと早口を許してもらいたい。2倍速で生きているのだ。