[第33号:2019-8-25]

本投稿はIBMA極真会館サイトに掲載されたものをアーカイブしています。今後、デジタル空手武道通信は、デジタル空手武道教本のサイトにて掲載します。

 

巻頭言:TSベータ方式について〜増田 章

ヒッティングは老若男女が安全に楽しく、技術を高めていける組手法です!
【TSベータ方式とは】

 TSベータ方式とは、顔面突きなしのTSアルファ方式の組手法の上級者版です。TSベータ方式は顔面突きを使った攻防の稽古ができます。IBMA極真会館では、組手稽古の基本はTSアルファ方式ですが、茶帯以上の上級者、そして有段者には顔面突きありの TSベータ方式を組手修練を行います。ただし、顔面突き無しのTSアルファ方式の組手法を習得した者だけが、TSベータ方式を稽古できます。

 これまでの修練体系では、顔面突きがありませんでした。また、TSアルファ方式の組手法も完成していませんでした。しかしながら、今後は昇級、昇段審査の組手審査にはTS方式の組手法を採用します。これまでの審査方法で昇段した方もTS方式の組手法を習得してください。

 TS方式は顔面突きなしのアルファ、そして顔面突きありのベータ、それぞれ異なる効用と意義があります。ゆえにIBMA極真会館は極真方式とTSアルファ方式、そして顔面突きありのTSベータ方式(ヒッティング)を組手を修練の基本とします。そこから、応用としての「対武器の組手」「倒し技ありのフリースタイルの組手」など、修練法を段階的に追加して行きます。ただし、基本の組手ができない者に応用の組手修練を指導しません。また我々は、全ての道場生が、協力して高いレベルの心技の体得を目指します。高いレベルの心技の体得は簡単なことではありません。それでも、IBMA極真会館空手道のメソッドを隅から隅まで読み解き理解するならば、どんな人でも一定のレベルの武術は体得できます。

 今後1年間ほどの猶予期間を設けます。その間、TS方式の組手法を習得してください。2020年以降のIBMA極真会館は、このTS方式の組手法と拓心武道メソッドを採用し、それを普及し、かつ高めていく人達と共に活動していきます。

 ゆえにTS方式の組手ができないということは、IBMA極真会館の空手道を理解していないということになります。蛇足ですが、多くの人が極真空手としてイメージしている事柄は、あまりにも大雑把なイメージ過ぎます(イメージにもなっていないかもしれません)。ゆえに指導者の浅く狭い思い込みによって、稽古内容が出来上がっています。

 口幅ったいですが、私は大山倍達先生が歩んできた格闘技と武術の道を再び切り拓きます。本当の道とはどこまでも続いていきます。そしてその道をどこまでも歩むことで本当の自己と出会うのです。しかしながら、人間は大人になると道を歩かなくなるようです。本当の自己を求めなくなり、虚仮の自分に安住するようになるからです。言い換えれば、考えることをしなくなるのです。虚仮の自分を守ることに汲々とするのは道を歩くことではありません。

 私は大山倍達先生を信じています。そして、私のたどり着いた武道空手が決して大山倍達先生にお叱りを受けるものではないと考えています。なぜなら、大山倍達先生と全く同じではありませんが、大山先生の歩まれた道を深く考え、そのまま歩まれていれば、必ずたどり着いたであろう道を探し求めているからです。また、私は伝統基本を等閑にせずに残してきました。なぜなら、伝統基本のみならず、その応用を教え伝えるならば、いつの日か、デタラメに広がった極真空手の門下生をつなぐことも夢ではないと考えているからです。

 もう一つ、誤解を恐れずに言えば、極真空手やフルコンという極真空手を真似た空手競技で行われているのは競技というには、競技の構造に瑕疵があると、私は考えています。もちろん、修練としては一定の効用はあるでしょう。ゆえに全否定することはしません。しかし、それらは本質的に競技ではないのです。私は競技の効用を高く認識する立場です。人間は競技という手段によって鍛えられます。しかし、競技と競技の基盤というのはシステムです。そしてシステムは絶えずガバナンスと瑕疵の修正をし続けなければならないのです。大仰に言えば、そのテーマの先は、経済システムや世界平和にも繋がっていくと私は考えています。その理論をまとめるのが、私のライフワークです。

 補足を加えますと、このTS方式の組手法は、極真空手を高めたいと、様々な武術や格闘技を研究してきた増田 章が考案した「増田武道メソッド」の一環です。多くの人が、それを極真空手だとは認めないかもしれません。しかしながら、そのメソッドは、極真空手の競技方法を高めようと、広く、かつ深く空手修練と研究を続けた末に考案されたものです。

【極真空手の原点、武道空手の原点】

 ゆえに極真空手の伝統的な技を研究し再編集した技術も含んでいます。言い換えれば、極真空手の原点、武道空手の原点に立ち戻り、再編集した技術とその修練方法なのです。具体的には、伝統技の応用である護身術や対武器の技術も含まれます。増田は、極真空手を真の武道空手にしたいのです。そのためには、また、道場生がそれを学ぶためには、修練体系、すなわち「OS(オペレーションシステム)」を若干修正しなければなりません。そして、増田が考案したアプリケーションソフトをインストールしてください。そのアプリケーションソフトが「拓心武道メソッド」なのです。

【拓心武道メソッド(増田武道メソッド)とは】

 最後に、このヒッティングを含む拓心武道メソッド(増田武道メソッド)とは、大山倍達師範が目指した武道空手の実現を補完する修練法です。重要な点は、「顔面突きの採用」「防具の採用」「技の精度判定による完全ポイント制の採用」の3つです。この3つの要素が、極真空手とスポーツの良い面を融合します。そのことは、全ての人に直接打撃の組手を安全に練習を繰り返すことができ、かつ技術の重要性を認識させることを容易にします。また同時に全ての人に防御技術と攻撃技術のスキルの重要性の認知を必然化します。それらの要素を内在することで、生涯を通じ、競技に取り組めます。つまり、ヒッティングを創設する目的は、打撃技の攻防スキルを体得するために、多くの反復練習を可能とし、それを行う全ての人が楽しく、技術を高めていけるようにすることです。また、修練者が望めば、ヒッティングを基盤にして、一撃必殺の真の武道を極めてもいけるのです。

 

▼研究科生(2年目)と共に

 

 

本号の主な内容

TSベータ方式練習試合(坡場対増田)〜拓心武道メソッド

▼音声の不具合、得点表示を修正しました。また全映像はデジタル空手武道教本で閲覧してください。

 

 

 

ワンポイントレッスン〜組手型の名称の読み取り方

 組手型の名称の読み取り方に修正部分があります。28号以前の組手型は修正前です。今後、全ての組手型の名称(記載方法)を修正します。赤字、下線ありの部分が変更部分。デジタル教本は6月(予定)以降、全リニューアルします。 組手型の名称の読み取り方には規定を設定しています。その規定を理解すれば、名称で大体の組手型の構成が理解できます。組手型は仕掛け手による仕掛け技と応じ手による応じ技(位置取りのための運足ならびに防御技と反撃技)によって構成されています。組手型の名称はその技の構成を増田式の規定法により分類整理しています(この方法は、増田 章の考案、著作物です)。 例: 〇〇〇に対し「〇〇〇受け〇〇〇突き」

  1. 〇〇〇に対しの部分は、仕掛け技の名称
  2. 〇〇〇受けの部分は、防御技の名称
  3. 〇〇〇突きの部分は、反撃技の名称」
  4. 最後に(〇〇)として(入り身、退き身、背後取りなど)と記載されているのは位置取り理合を示しています。
拓心武道メソッド(増田式空手メソッド)は
「制心」ー「制位」ー「制機」の三制一致による「制勝」を目指し
道(天地自然の理法)との一体化
神人合一を目的とします。

   

注意

TS方式アルファ→ヒッティング・ベーシックスタイル、TS方式ベータ→ヒッティングに変更します。

  お知らせ

  • デジタル空手武道通信では、常時コンテンツを修正、補充(アップロード)していきます。
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  • ※近日中に以下の更新、掲載を予定しています。 IBMA極真会館空手道の基本修練項目を改訂版の掲載を予定しています。 IBMA空手競技規定の改訂版。 増田章の空手レッスン。

編集後記   

 実は盆休みの前から、空手武道教本のサイトのリニューアルをしていた。そんな中、発作的に墓参りを強行した。強行スケジュールで帰省したことに加え、台風の影響だと思われるが、体調が良くなかった。連日、体の節々が痛く、だるかった。そんな中、読書などや撮りためておいたTV番組などをみて、情報収集に務めた。

 私はとても欲張りなので、哲学、宗教から経済学、地政学、政治学、歴史、科学など、「そんな知識は必要ないだろ」と言われるような本を読んでいる。だが、どこかに考え方のヒントがあると思っているからだ。スポーツ選手などの話は、もう腹一杯である。いつも全く異なる分野の研究者の書いたものに勇気づけられる。

 盆休みは、ニーチェ、簡単な経済学の本を数冊、簡単な朝鮮の歴史の本を読んだ。経済学の本は学術書ではなかったが、心理学を応用したもの、資本論をベースにしたものなど、とても面白い本が読めた。だが、ニーチェは挫折した。途中、こんな本を読んでる場合ではない、時間があるときに読めば良い、との声が聞こえた。また、ニーチェの思想は解説本で大体わかっている。これ以上の深入りは、阿保だろう。

 

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