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TS方式空手武道競技規程

TS方式空手武道競技規程(ヒッティング競技規程)

 

第1章 競技

第1節 競技の目的と理念

第1条  本規程によって実施される競技の目的は単なる競技スポーツではなく、技術の研鑽と技能の体得による武道人という価値観の醸成である。ゆえに繰り返すが、競技は手段であり、その意義は競技を行うことで、各々の心身訓練の精華としての技術のみならず、自己表現としての技能を高めることにある。ヒッティング競技においては、突きや蹴りなどを当てあうことによるダメージを防具により軽減し、その有効、無効をポイントで表し、そのポイント数で勝敗を決するポイント制・武道スポーツ競技である。なお、ポイントの判定基準の第1義は、技の正確性である。また、身体的ダメージによるノックアウトは判定基準に設定していない。そのことにより、安全性を確保し、老若男女が、突きや蹴りの当て合いなどの武技の試し合いを繰り返し行えるよう考えてある。その意義は、老若男女が長期にわたり、競技を行うことで、各々の心身訓練の精華としての技術のみならず、自己表現としての技能を高めることにある。さらに、古伝武道の「一撃必殺」と言う価値観を「心撃相活」と言う自他共生の価値観へと昇華させることにある。ゆえに、その競技の目的は、勝者を決するためにあるのではなく、競技者が共に武の理法を学び合い、無益なダメージの与えあいを避ける道を追求することにある。その道とは、自他一体の理法を知ること、他者を生かし自己を生かす道を知ることである。なお、本競技規程を活用する武道人は、武道人精神(BudoMan Ship)を念頭に活動すること。  
 武道人精神とは、『空手武道競技を”交流(Communication)”、”理解(Understanding)”、”尊敬(Sonkei/Respect)”の手段とし、”仁(Perfect Virtue)”、”智(Sense)”、”勇(Courage)”の醸成と人間完成を図るための”悟り(Enlightenment)”をゴールとする意志のことである』  
 本競技は、第一条を遵守し競技を普及し、人と人との心を繋ぎ、そこに良心を結び、人類の平和共存へ寄与することを目的とする。

第2節 名称、他

第2条 競技方式およびクラスについては以下のように決める。
1. 競技方式の正式名称は「T S方式空手武道競技」とする。なお、TS方式空手武道競技には、競技において使用できる技術の種類等の違いにより、「ヒッティング・ベーシックスタイル」「ヒッティング・アドバンススタイル」「ヒッティング・フリースタイル」の3種の競技形式を設定する。また、この競技の通称を「ヒッティング競技」とする。ただし、本競技規定は「ヒッティング・ベーシックスタイル」および「ヒッティング」の規定のみ掲載することとする。
2. 各競技方式においては、年齢、性別、体重別に各クラスを設定する。
3. 「ヒッティング・ベーシックスタイル」は、「ヒッティング・アドバンススタイル」並びに「ヒッティング・フリースタイル」への移行を前提とする。
4. 「ヒッティング・フリースタイル」の競技規定の詳細は別紙にて記載することとする。

第3節 選手

第3条 選手に関し、以下のように定める。
1. 本規程に則った競技を行う場合、選手はIBMA極真会館増田道場本部に選手登録すること。
2. 競技進行の妨げとなるおそれのある負傷・長髪、ひげ、爪およびその他観客に不快の念を与える風体の者の競技は許可しない。
3. 急性炎症性疾患・感染性疾患などに罹患している時の競技は許可しない。
4. その他ドクターが競技に不適であると認定した者、及びドクターの診断勧告に応じない者の競技は許可しない。
5. 
全力で競技を行なわない、もしくは故意の反則等、悪質な行為をした選手は、選手登録を抹消し、以後、選手登録はできないこととする。また、選手には弁明の機会を与えることとする。
6. IBMA極真会館増田道場本部に選手登録していない選手は本競技規程を採用する競技会に参加を許可しない。
7. 競技会開始時間並びに競技時間に遅れた選手は、失格とする。
8. 競技の参加手続き後、正当な理由なく競技参加をしなかった選手は、以後IBMA極真会館増田道場の主催する競技には参加できないこととする。
9. 足甲部、脛部、膝部、胴部、頭部、拳部などを保護する防具の着用を義務付ける。なお、プロテクターの種類等については、別紙において定める。

第4節 競技時間

第4条 競技時間並びに本戦、延長戦については以下のように定める。
1. 競技は本戦と延長戦(再延長戦も含む)の2種類とする。
2. 本戦の時間については3分間とする。延長戦の競技時間は2分間とする。
3. ヒッティング競技はトーナメント方式の競技大会以外においては、2分間の競技を3セット行い、2セット先取した側を勝者とする方式も可とする(3セットマッチ方式)。
4. 延長戦及び再延長戦の回数は、競技を主催する主旨およびクラスなどによって変更することを許可する。ただし、その場合、延長戦の時間並びに回数については、競技前に選手に告知すること。
5. 競技時間については、少年やシニア対象の競技大会など、IBMA極真会館増田道場本部が許可すれば、競技時間等の変更は認める。

第5節 競技場

第5条 競技を行なう競技場については以下のように定める。
1. 公式競技における競技場のメインスペースの広さおよび形は、1辺6〜8メートルの正方形又は直径6〜8メートルの円形とすること。
2. 競技場には、メインスペースと場外スペースを設けること。
3. 場外スペースは2m以上の幅とすること。
4. 競技場のメインスペースと場外スペースは、下図1のように選手並びに観客に分かるようにすること(下図は一例)
第6条 競技場のマットは、選手が怪我をしないような厚みと堅さを有するものを使用しな ければならない。
第7条 競技場には、選手と観客に得点が見えるように競技場の2カ所以上にスコアボードを設置すること。

 
 
 
(下図1)

第6節 計量

第8条 体重別のクラスに参加する選手は、競技当日、審判委員会が決めた計量時間内に計量を行い、審判委員会の承認を得なければならない。
第9条 計量時間内に計量を済ませなかった時や規定体重を超えた場合、選手は失格となる。
第10条 
競技前にドクターの診断を受け、健康な状態にあることを証明しなければならない。

第7節 服装、防具、他

第11条 選手に関し、以下のように定める。
1. TS方式空手武道競技を行うものは、競技競技の目的に照らし、IBMA極真会館増田道場本部が許可した競技用防具、頭部面、胴部プロテクター、大腿部プロテクター、拳プロテクターなど、指定のものを使用することとする。
2. 本規程に則った競技を行う場合、選手はIBMA極真会館増田道場本部が認定した選手統括団体に必ず選手登録することとする
3. 競技進行の妨げとなるおそれのある負傷・長髪、ひげ、爪およびその他観客に不快の念を与える風体の者の競技は許可しない。
4. 急性炎症性疾患・感染性疾患などに罹患している時の競技は許可しない。
5. その他ドクターが競技に不適であると認定した者、及びドクターの診断勧告に応じない者の競技は許可しない。
6. 
全力で競技を行なわない、もしくは故意の反則等、悪質な行為をした選手は、選手登録を抹消し、以後IBMA極真会館増田道場が認定する選手統括団体に登録できないこととする。但し、この決定には理事会の承認を必要とする。また、選手には弁明の機会を与えることとする。
7. IBMA極真会館が何らかの正当な事由により、選手登録を許可しない者の競技は許可しない。
8. 競技会開始時間並びに競技時間に遅れた選手は、失格とする。 9. 競技の選手登録後(参加登録後)、競技参加を一方的に反古にしたりした選手は、以後IBMA極真会館増田道場の主催する競技には選手登録できないこととする。

第8節 セコンド

第12条 1人の選手に許されるセコンドは3名以内とし、うち1名をチーフ・セコンド とする。セコンドは、以下のことを守らなければならない。それに従わない場合、主審(から退場を命じられる。
1. 相手選手に対し相手を中傷するような非礼な言動をしてはならない。
2. 競技中は所定の場所に着席し、選手への戦術的な指示以外はしないこと。
3. 競技中、緊急時を除いて、セコンドが競技場に入った場合は、その選手は失格となる。
4. セコンドは、競技前にチーフ・セコンドの氏名を審判委員会に届けること。

第2章 競技役員

第1節 審判員

第13条 TS方式空手武道競技規程(ヒッティング競技規程)を採用する競技大会には、主審1名、副審2〜4名の審判員並び1名以上の補助審判員を配置しなければならない。
第14条 競技中、主審1名と副審は3名または5名のチームを組み、競技中、選手の攻撃(技)の有効性の判定、反則行為などのを行なう。
第15条 競技における主審と副審の役割と権限、その他、注意事項について以下のように定める。
1. 主審はならびに副審は、競技中、選手の攻撃(技)、反則行為、勝敗の判定並び宣告を行う。
2. 主審は、技が決まったと判断した場合、直ちに「やめ」の宣告、また、副審は笛と旗による宣告を直ちに行わなければならない。
3. 主審は副審が笛と旗で「技あり」の宣告をした場合、見落とさないようにすること。笛を聞いた時点で、直ちに競技を中断し、審判員全員で技の判定を協議しなければならない。その場合、審判員の過半数の判断に従うこととする。主審が副審の宣告による競技の中断を怠った場合、IBMA極真会館増田道場から指導を行い、資格を剥奪することもあることとする。
4. 主審は競技中、何らかの事由により、膠着状態に陥ったりした時、またはドクター、補助審判員に意見を求める必要などが生じたとき、主審の判断で「止め」を宣告し、競技を中断することができることとする。
5. 主審は競技前、選手の服装に、破れや汚れ等、この競技規定に反する異常が見られた場合、注意を促し、直ちに直させること(その際、一旦両選手を退場させる)。
6. 主審と副審は、技の見落とし等が無いよう心がけ、より公正な技判定を協力して行なわなければならない。
7. 主審は競技において、競技の進行を司り、「始め」「続行」「止め」「認めず」「口頭注意」「イエローカード」「レッドカード」「勝ち」の5種類の宣告を行う。それ以外の宣告ならびに発言は選手の混乱を招く可能性があるので使用してはならない。
8. 主審は、競技の審判の際、主審は選手の心身の安全に厳重な注意を払うことを義務とし、競技中、何らかの危険性を感じた場合、直ちに競技を中断し、ドクター、補助審判員、他にアドバイスを求めなければならない。
9. 主審は「技有り」を宣告する際、選手に「やめ」を宣告し、選手を競技開始位置につかせなければならない。但し、選手の身体にダメージがあると判断される場合は、選手をその場に寝かせた状態のまま、ドクターの指示を仰がなければならない。
10. 主審は、本競技規程に定められた反則行為が見られた場合、本規程に則り、選手に対し 「イエローカード」「レッドカード」の告知による反則行為の宣告を行わなければならない。
11. 副審は、競技中、選手に「技有り」「反則行為」が見られた場合、直ちに笛と旗により、それを主審に知らせなければならない。ただし、副審がそれを確認できなかった場合は確認できないとして、胸の前で旗をクロスさせ「確認不能」と告知する。
12. 主審は「技判定」と「イエローカード」等の判定並びに告知する場合、全審判員の判断を取りまとめ、主審、副審の総数の過半数を占めた判定を宣告することとする。
13. IBMA極真会館が公認する競技における主審は、 IBMA極真会館の審判員資格を有する者とし、競技において、主審が重大な反則行為を見落とした場合、審判員の資格を取り消すことがあるものとする。
第16条 審判員及び審議員の資格認定等は、以下のように定める。
1. 審判は、IBMA極真会館増田道場・審判委員会が認定した者が行なうこととする。
2. 審判員の認定は、IBMA極真会館増田道場が行ない、増田章が承認する。
3. IBMA極真会館増田道場・審判員資格は、そのレベルを1、2、3、4級とする。
4. 審判員は、競技のレベルに応じて配置するものとする。
5. 審判員は、競技において、審判上の過失を犯した場合、降格又は資格を取り消す場合もあるものとする。

第2節 補助審判員並びに審判委員会

第17条 補助審判員は主審および副審の技判定が困難な場合、審判の一人として判定に加わることができる。また、競技中であっても、主審並びに副審の判定等に過失があると判断すれば、指導することができる。
第18条 審判委員は、本規程の改変を無断で行なったとみなされるルールを見つけた時は、IBMA理事会に報告することとする。なお、審判委員会により、その事実が客観的に判断できる場合、実質的な著作権の侵害とみなす。 第19条 競技における諸問題については、IBMA極真会館増田道場・審判委員会並びに増田章が討議にあたることとする。   第3節 タイムキーパーならびにスコアボード係
第19条 競技におけるタイムキーパーならびにスコアボード係の役割は以下のように定める。
1. タイムキーパーは、競技時間を管理するものとし、主審の「始め」の号令と共にストップウオッチを作動させ、「やめ」の号令でストップウオッチを一時、停止させる。 2. スコアボード係は、主審の主審と副審の示す旗の色が多い側に「技有り」による得点ならびに「イエローカード」の宣告による加点をスコアボードに反映させること。 第4節 
ドクター 第20条 競技ドクターはスポーツ医学に精通した医師であって選手の健康を管理する。ドクターは、以下の義務を守らなければならない。
  1. IBMA極真会館増田道場本部の指示に従い、選手の定時または臨時の診察をすること。
2. 競技中は、競技場の最前列に着席し、主審の要請があれば負傷選手の診断の結果を報告し、万一緊急事態が起こった場合には応急の処置をとること。
 3. 競技中、ドクターは自己の判断によって主審ならびに大会実行委員会に競技中止を勧告することができる。

第3章  判定

第1節 勝敗の判定

第21条 競技は、本戦、延長戦において、競技者の獲得した点差が6点以上となった時、終了する。また、規定の競技時間に達した時に終了する。
第22条 競技には本戦と延長戦とがある。なお、延長戦は、本戦において点差が6点以上に達しなかった場合に行う。

第2節 延長戦における勝敗の判定

第23条 「 TS方式空手武道競技」においては、ポイントを多く獲得した者を勝者とする。同点の場合、2分間の「延長戦」を行う。延長戦に関しては以下のように定める。
1. 「延長戦」に入る前は、20秒の休憩時間を与える。その際、選手は主審の指示に従い、場内の所定の位置において、立った状態で待機しなければならない。
2. 「延長戦」が終了した時点では、1点でも得点が多い方を勝者とする。
3. 「延長戦」において同点の場合、2〜3分の「再延長戦」を行なう。
4. 「再延長戦」では、攻撃技による1点を先取(ゴールデン・ポイント)した方を勝者とする「ゴールデン・ポイント制」により行う。
5. 「再延長戦」の規定時間が終了した時点で同点の場合は、再度「再延長戦」を行う。以後、同様に同点の場合は「再延長戦2」「再延長戦3」と繰り返すこととする。

第3節 「場外」「転倒」による「イエローカード」、他

第24条 両足を場外に出した時、場外に出た選手に「イエローカード」を告知し「場外」を宣告する。そして、イエローカードを告知された選手の相手側に1点を加点する。
 
第25条 スリップや回転胴廻し蹴りの失敗による転倒を含め、いかなる原因でも、自分の足裏以外を床に着ければ(片手、片膝のみ、片手と片膝のみを床に着けた状態を除く)、「イエローカード」の告知は行わないが、相手側に1点を加点する。
第26条 転倒した後、3秒以内に立ち上がらなければ、「イエローカード」の告知により、相手側に1点を加点する。3秒未満で立ち上がれば、「イエローカード」の告知はないが、相手側に1点を加点する。

第4節 「一本」「技有り」、他

第27条 競技においては、本規程に則り、効果的と判定された技を「技有り」と判定し、その技を駆使した側に得点を付与する。また、競技前に決められた競技時間に達した時、競技を終了する。

〈一本〉

第28条 主審は以下の場合、「一本」を宣し、競技を終了しなければならない。 
1. 技有りの判定基準を満たした見事な技が決まり、もし防具がなければ、その技により相手に重大な損傷を与えたと、審判の過半数が判断した場合、その技を「一本」と判定する。 
2. 相手の攻撃により、競技者が戦意を喪失していると、審判の過半数が判断した場合、また、これ以上競技を続行すれば、身体的損傷を受けると審判の過半数が判断した場合。その場合は「勝負あり一本と宣する」
3. 相手とのポイント差(得点差)が6〜10点以上なった場合(競技者のレベルによって決める)。ただし、その場合は「勝負あり一本」と宣すること。 主審は以下の場合、競技続行不能として「一本」を宣し、競技を終了しなければならない。

〈技有りの判定〉

第29条 競技者が本規程に定められたヒットポイントに反則技以外の打撃技を、気合いと共にクリーンヒットした場合、「技有り」とする。なお、「技有り」の宣告を行う場合、主審は本競技規程の別紙に定められた所作により行うことする。
第30条 「技有り」の点数およびに判定基準を以下のように定める。
1. 「技有り」による得点は、下段への蹴り技は1点、中段突きは1点、中段蹴りは2点、上段突き2点、上段蹴り3点とする。 〈上段への蹴り技による技有り〉
2. 上段(頭部)に本競技規程で認められた「前蹴り」「回し蹴り」「後ろ回し蹴り」「踵落とし」「裏回し蹴り」「膝蹴り」をヒットポイントにクリーンヒットさせれば「技有り」とし、3点を付与する。ただし、軽く当たった程度のあたりで、クリーンヒットと認められない蹴り技や相手に蹴り技を当てた後、体勢を崩し、倒れた場合は「無効」とする。 〈上段への突き技による技有り〉
3. 「ヒッティング・アドバンススタイル」の競技においては、上段(頭部/顔面)の「人中」「こめかみ」周辺のヒットポイントに直突き、鍵突きをクリーンヒットさせた場合「技有り」とし、2点を付与する。ただし、軽く当たった程度のあたりで、クリーンヒットと認められない突き技は無効とする。 〈中段への蹴り技による技有り〉
4. 「みぞおち」「左右の脇腹(腰骨の上)」に踏み込みを伴った「前蹴り」「横蹴り」「後ろ蹴り」「膝蹴り」をクリーンヒットさせた場合、中段蹴りによる「技有り」とし、1点を付与する。ただし、軽く当たった程度のあたりで、クリーンヒットと認められない蹴り技や蹴りを相手に当てた後、体勢を崩し、倒れた場合は「無効」とする。 〈中段への突き技による技有り〉
5. 「みぞおち」「左右の脇腹(腰骨の上)」に踏み込みを伴った「逆直突き」「順下突き」「逆下突き」をクリーンヒットさせた場合、中段突きによる「技有り」とする。ただし、スピードや引きのない、軽く当たった程度の突きは、クリーンヒットと認められない突き技は無効とする。 〈上中段への突き技による技有り〉
6. 「ヒッティング・アドバンススタイル」では、上中段の「正中線上」に踏み込みを伴った「順直突き」「逆直突き」をクリーンヒットさせた場合、上中段への突き技による「技有り」とする。ただし、軽く当たった程度の突きは、クリーンヒットと認めず、その突き技は無効とする。
7. 「ヒッティング・ベーシックスタイル」では、上中段への順直突きから逆直突きの2連打(ワンツー)は、逆直突きを「技有り」と判定する。 〈下段への蹴り技による技有り〉
8. 「膝から腰骨に至る太腿(大腿四頭筋)の真ん中部分」に、踏み込みを伴った、下段回し蹴りをクリーンヒットさせた場合、下段蹴り「技有り」とし1点を付与する。ただし、軽く当たった程度の蹴りは、クリーンヒットと認めず、「無効」とする。また、蹴りを相手に当てた後、体勢を崩し、倒れた場合も「無効」とする。

〈倒し技による技有り〉

9. 「ヒッティング・アドバンススタイル」では、相手を「足払い」や「入り身落とし」など、反則技に該当しない方法で転倒させた場合、「技有り」とし、2点を付与する。ただし、「倒した相手を十分に制御した状況(相手の中心から1メートル以内に位置取り、いつでも攻撃を加えられる状態)」でなければ無効とする。

〈背後取りによる技有り〉

10. 「ヒッティング・アドバンススタイル」では、相手の背後の位置を取ったと主審が判断した場合、「技有り」とし、2点を付与する。

〈倒し技による技有り〉

11. 反則行為に該当しない「倒し技」「蹴り技」等により、相手のバランスを崩し、足裏以外を床に着かせ(片手、片膝のみ、片手と片膝のみを床に着けた状態を除く)、「残心」をとった場合、「技有り」とする。ただし、相手を倒した後、自分の足裏以外が床に着いた場合(片手、片膝のみ、片手と片膝のみを床に着けた状態を除く)、その技は「無効」となる。転倒が攻撃技によるものではなく、自己の過失による場合は「無効」とする。

第5節 「無効」「認めず」「確認不能」「取り消し」他

第31条 競技中、以下の場合、主審は胸の前で両腕をクロスさせ、「無効」「認めず」「確認不能」「取り消し」を宣告すること。
1. 間違った技判定等を行なったと主審が判断したとき、主審は「取り消し」を宣告し、その後、正しい宣告を行なうこと。
2. 突き技や蹴り技が「技有り」と判断されるのは、ヒットポイントへの「正確性」「スピード」「タイミング」「体重移動」「気合い」の5項目が十分に認められた場合のみとする。それ以外の軽く当たった突きや偶然当たったような突きは無効とする。ただし、先述した5項目の内、「正確性」を除く、一つの項目が十分でなくても、他の項目が十分と認められるような場合は「技有り」を宣告もあるものとする。
3. 突き技が「技有り」と判断されるための体重移動とは、踏み込みが十分、かつ腰が入った突き技とする。また一定の威力が見られるものとする。
4. 倒し技による「技有り」は、30条9項における「倒した相手を十分に制御した状況」のみとし、それ以外は「無効」とすること。
5. 引きがない「押し突き」はクリーンヒットとは判定しない。
6. 決め突きのための囮の突き技(ワンツーのワンの突きなど)は「技有り」の判定から除外する。 7. 蹴り技をクリーンヒットさせるための囮技(突きや蹴りのフェイントなど)や崩し技(押し突き、フェイントの蹴り、内腿への下段回し蹴りなど)を用いることは認めるが「技有り」の判定からは除外する。
8. 相手の膝から腰骨に至る太腿(大腿四頭筋)の真ん中に、回し蹴りがクリーンヒットとしても相手の軸足の裏側にほぼ同時に回し蹴りが当たっている場合、「相打ち無効」として無効とする。
9. 相手の突き技、蹴り技を受けた後に仕掛けたと判断される「突き技」「蹴り技」は、たとえ相手にクリーンヒットしても判定対象から除外する。ただし、相手の「突き技」「蹴り技」を十分に見切り、ポイントを外して出した打撃技は判定対象とする。また「脛受け」「肘受け」「払い受け」「かわし受け」などの防御技術を用いて、防御した後に仕掛けた突き、蹴りならば、「技有り」の判定対象とする(技有りの判定基準は判定の章を参照のこと)。
10. ほぼ同時に彼我の突き技、蹴り技が相手に当たった場合、審判の技あり、認めずなどの判定が過半数を超えた技を技有りと判定する。
11. 「ヒッティング」の競技においては、「ヒッティング・ベーシックスタイル」の競技における「上中段」への突き技を判定対象から除外する。その代わりに、上段(頭部)への突き技の使用を認め、判定対象に加えることとする。ただし、上中段への突き技や押し等の崩し技の使用は認めることとする。
12. 審判員は、相手を足払い等で倒したが、自分も倒れた場合、その技は「無効」を宣告する。
13. 副審が何らかの反則行為を告知していても、その数が過半数に満たない場合(主審も含め)は「認めず」を宣告する。
14. 間違った技判定等の宣告を行なったと主審が判断したとき、また、他の審判員からの指摘があった場合、直ちに、競技を止め、他の審判員(補助審判員を含む)の意見を聞き、主審は「取り消し」を宣告することができる。また、その後正しい宣告を行なう。
15. 副審は、主審の判定の宣告に明らかな間違い(宣告する選手側を間違うなど)が見られた場合、直ちに笛と、右手を真上に挙上し、主審にその旨を伝えること。 16. 審判員は技や反則行為の判定が目視できなかった場合「確認不能」と他の審判員に伝えること。その際、主審は両腕を胸の前でクロスさせ、その意を示す。副審は、胸の前で両旗をクロスさせ、その意を示すこと。
17. 相手を足払い等で倒したが、自分も倒れた場合、その技は「無効」を宣告する。
18. 副審が何らかの反則行為を告知していても、その数が過半数に満たない場合(主審も含め)は「認めず」を宣告する。
19. 間違った技判定等の宣告を行なったと主審が判断したとき、また、他の審判員からの指摘があった場合、直ちに、競技を止め、他の審判員(補助審判員を含む)の意見を聞き、主審は「取り消し」を宣告することができる。また、その後正しい宣告を行なう。
20. 副審は、主審の判定の宣告に明らかな間違い(宣告する選手側を間違うなど)が見られた場合、直ちに笛と、右手を真上に挙上し、主審にその旨を伝えること。 21. 審判員は技や反則行為の判定が目視で判断できなかった場合「確認不能」と他の審判員に伝えること。その際、主審は両腕を胸の前でクロスさせ、その意を示す。副審は、胸の前で両旗をクロスさせ、その意を示すこと。

第6節 特記事項

第32条 以下の項目を競技における特記事項とする。
1. 打撃技の判定において、クリーンヒットと判断するのは、決められたヒットポイントに「正確に打撃技をあてること」を前提(正確性/必要条件)とし、「スピード」「体重移動(衝撃)」を充たし、「タイミング(制機/機会)」を捉え、「気合」を十分に込めることという5項目が充たされたものする。 2. 前項において、「正確性」を必須条件として、「スピード」「体重移動(威力)」「タイミング(制機/機会)」「気合」の項目の、1項目の欠落のみで他の項目を十分に満たす技であれば、「技有り」と判定することも可とする。
3. 「気合」とは、攻撃技当てる際の掛け声のことであり、その掛け方は、腹部に力を入れ、大きく「エイ」と発声すること。それ以外の「気合」は気合とは認めない。
4. 「クリーンヒット」の概念は、防御反応ができない「機前」を捉えて攻撃技を当てることとする。
5. 中段回し蹴りに対しては、小手の防御、脛による防御がある場合は、クリーンヒットとは認めない。
6. 「上中段」とは、鎖骨から乳腺の間の正中線上のこと。
7. 「中段」とは「みぞおち」と「左右脇腹」のこと。ただし、脇腹は帯から上で乳腺のラインより下のこととする。
8. 「下段」とは、膝から腰骨に至る太腿(大腿四頭筋)の真ん中周辺のこと。
9. 「残心」「極め突き」に関する所作等の詳細な規定は別記に定める。
10. 「残心がある」とは、技を決めた後、「上段の手構えによる自然体組手立ちの状態にある時」、また「極め突きを行なった時」、また「すぐに攻撃を相手に当てられる状態にある時」をいう。その際、相手の中心(へその下)からおよそ1,2メートル以上離れていた場合、「残心がある」とは認められない。
11. 相手を倒し、間髪を入れずに「極め突き」を入れた状態を「残心がある」とする。ただし、極め突きは相手の身体に当てずに寸止めとすること。
12. 「ヒッティング・ベーシックスタイル」では上中段への鍵突きは、相手を崩す意味合いでの使用を認める。しかしながら、「技有り」の判定対象から除外する。
13. 「ヒッティング・ベーシックスタイル」「ヒッティング」ともに上中段への突きや押しなどを崩し技として使用することを認める。
14. 中段の「後ろ蹴り」は、回転後ろ蹴りのみ「技有り」と判定する。
15. 主審の「やめ」、副審の「笛」による宣告の前、ほぼ同時に突き技や蹴り技が双方に正確にクリーンヒットした場合は、双方の技を「技有り」とする。ただし、主審の「やめ」、副審の「笛」による宣告後の攻撃は無効、または反則とする。
16. 少年部の試合や組手技術の未熟な者の場合が参加する競技では、「本規程」の「倒し技」の使用は不可とし、かつ反則行為とすること。
17.競技中、相手の空手着を掴むことは禁じるが、相手の手首を掴むこと、手により掛ける行為は反則行為とはしない。
18. 2回〜3回連続して相手に突き技を当てた場合の技有り判定は気合いを伴った攻撃技のみとし、気合いの伴っていない技は技有り判定の対象から場外する。
 

第4章  反則

第1節 「口頭注意」「イエローカード」と「レッドカード」「確認不能」の宣告

第33条 競技中、選手に反則行為が見られた場合の審判員の宣告の規準並びに方法について、以下のように定める。
1. 主審は、選手がダメージ等のない軽微な反則行為を犯したと判断した場合、まず「口頭注意」により、選手へ反則行為に対する注意を促すこととする。
2. 前項に該当する場合、副審の笛による反則行為の宣告があっても、主審判断により、「口頭注意」として扱うことができる。
3. 「口頭注意」は、主審のみに与えられた権限である。ただし、「口頭注意」は1試合、3回までとする。4回以上の反則に関しては、軽微であっても審判員の過半数に従うものとする。
4. 副審は本規程に規定された反則行為に対し、笛と反則行為を犯した側の旗を振ることにより告知をしなければならない。
5. 前項に対し主審は全審判員の過半数の同意がる場合、「イエローカード」の告知による反則行為の宣告を行わなければならない。ただし「イエローカード」は競技における傷害や事故を未然に防止する役割並びに競技をその理念と目的に則ったものにするために行うこと。なお「レッドカード」の告知による宣告は、本競技規程の理念を理解しない者との判断により「失格」とする。また、特に悪質とみられる者には選手資格の剥奪、団体からの除名もあるものとする。
6. 主審は、故意による反則や相手へのダメージが大きい反則行為に対しては、即刻「レッドカード」の告知により失格を宣告する。
7. 「イエローカード」の告知による、反則行為の宣告は、2回目までとし、イエローカードが2回、告知された後の反則は、軽微な反則でも「レッドカード」を告知し、その選手を失格とする。
8. 副審は反則行為が見られた場合、笛と旗によって、それを告知する義務があるものとする。
第34条 主審は、「イエローカード」の告知および宣告を行う際、必ず主審および副審の過半数の同意により実施する。
第35条 主審は副審による同意が無くても、単独で「レッドカード」の告知ならびに宣告を行うことができる。

第2節 危険な行為へのイエローカード

第36条 競技中、相手選手に重大なダメージを与える可能性のある危険な行為を行なった選手に対し、「イエローカード」の告知により反則行為を宣告し、相手選手に1点を加点する。また、その詳細を以下のように定める。
1. 「ヒッティング・アドバンススタイル」では、相手頭部への過度なダメージを与えるような打撃による衝撃を制御していないと判断される打撃は「イエローカード」の告知により反則を宣告する。
2. 「ヒッティング・ベーシックスタイル」では手による頭部へ打撃技を禁ずる(当てれば、故意でなくても反則とする)。
3. 頭部に着用した防具のシールド(強化プラスティック)面以外の部分を手で打つこと。
4. 相手の喉、頸部への打撃。
5. 鎖骨への打撃。
6. 金的及び目への攻撃。
7. 頭突きによる攻撃。
8. 相手に噛みつくこと。
9. 相手を引っ掻くこと。
10. 相手の脚を取っての頭部への打撃技。
11. 相手の背後からの打撃技。
12. 相手の背部への打撃技。
13. 相手の膝関節への攻撃。
14. 膝頭の中心から上下、左右10センチの部分への打撃技。
15. 太ももに対する前蹴り及び横蹴り。
16. 相手頭部に手を掛けることや手で押さえること。
17. 相手頸部に手を掛けての頭部への打撃技(中段は可とする)
18. 脚部への「かにばさみ」。
19. 相手の競技着を掴むこと(帯は可とする)。
20. 蹴り技の軸足を刈ったり、払ったりして相手を倒すこと(ヒッティング・アドバンススタイルでは可とする)。
21. 太ももに対する前蹴り及び横蹴り、踵蹴り。
22. 頸部を掛けたり押さえたりすること。
23. 相手の競技着を掴んでの打撃技。
24. 乳腺付近への突きや鎖骨への突きなどへの執拗な攻撃を禁じる。ただし、競技の流れの中で止むを得ず、当たった場合を除く(主審の判断に任せる)。
第37条 その他、危険な行為が見られた場合、主審は「イエローカード」の告知による反則行為の宣告をする。宣告後、同じ行為を繰り返すようなら、「レッドカード」の告知による失格を宣告する。また、ジュニア、シニア対象の反則行為に関しては、IBMA極真会館増田道場本部と審判委員会が協議の上、別に定めることもあるものとする。

第3節 危険な行為以外の「イエローカード」と「口頭注意」

第37条 主審は危険な行為以外で、以下のような場合、「イエローカード」の告知、または「口頭注意」を行うこととする。その場合、「イエローカード」の告知を受けた者の相手側に1点を加点する。なお「口頭注意」に関しては、相手への加点はないものとする。
1. 突き技は相手に連続して3本までしか当ててはならない。
2. 奇声を発すること。
3. 主審の指示に従わないこと。(「やめ」の宣告後の攻撃など)
4. 場外に出ること(両足が場外に出た場合および相手の反則行為によるものを除く)。
5. ダメージのない反則行為に対し、審判に大げさにアピールする行為に対しては、「口頭注意」を与えること。ただし、審判に明らかに見落としがある場合は取り消すこと。
6. 場外付近(場外線から1メートル以内)における体当たり、両掌底、両拳による押し、ならびに相手を押しだすこと(場外付近以外での片手による掌底、拳による押しは可とする)。 7. 5秒〜10秒間以上、踏み込んでの突き、蹴りなどによる攻撃動作がなく、消極的な態度と主審が判断した場合、「口頭注意」または「イエローカード」の対象とする。なお、「口頭注意」とするか「イエローカード」とするかは、状況により主審が判断する。また、主審が「イエローカード」の告知を行った場合は、相手に1点を加点する。
8. 「ヒッティング・ベーシックスタイル」のにおいては、頭を下げ、間合いを詰めたりする戦術は「口頭注意」または「イエローカード」の対象とする。なお、「口頭注意」とするか「イエローカード」とするかは、状況により主審が判断する。また、主審が「イエローカード」の告知を行った場合は、相手に1点を加点する。 第

4節 レッドカードによる失格

第38条 競技中の反則行為に対し主審は、重大な反則行為並びにIBMA極真会館増田道場の理念ならびに本規程にある競技理念に背く行為に対しては、「レッドカード」の告知により反則行為を宣告する。「レッドカード」の告知による反則行為の宣告を受けた選手は、失格とする。なお、レッドカードの告知による宣告がなされる行為を以下のように定める。
1. 審判や相手選手に対する暴言や非紳士的態度を選手が見せた場合、主審は「レッドカード」の告知による失格を宣告する。
2. 主審の指示に従わない場合で、主審が危険又は悪質とみなせば、「レッドカード」の告知による失格を宣告する。
3. 両手或いは両膝が床に着いている状態の相手を打撃技で攻撃した場合、ならびに攻撃の動作をした場合、「レッドカード」の告知による失格を宣告する。ただし、極め突きは除く。
4. 反則行為を何度も繰り返した場合、また、主審が悪質と判断した場合は、「レッドカード」の告知による失格を宣告する。
5. 「イエローカード」の告知を2回受けた選手は、3回目以降の反則行為の宣告は、無条件で「レッドカード」の告知により、失格となる。

第5節 失格

第39条 「レッドカード」の告知ならびに「失格」の宣告がなされた時点で競技は終了する。なお「レッドカード」の告知ならびに「失格」の宣告を受けた選手は、主審の指示に従い、競技場の退場の所作を厳守し、退場する。
第40条 前条に該当する場合、もし「異議申し立て」がある場合は、速やかに審判委員または審議委員に申し出ること。審議により、判定の取り消しが認められる場合がある。但し、その場合は、競技直後10分以内とする。 第41条 競技中、「失格」が宣告された場合、失格を宣告された選手の相手選手を勝ちとする。 第42条 競技中、「失格」を宣告された選手は、審判委員会並びにIBMA極真会館 師範会の審議により、永久選手資格停止など、厳しい処分を行なう場合があるものとする。 第5章 選手ならびに審判の所作

第1節 選手の所作

第43条 選手の競技開始前の所作を原則以下のように定める。ただし、若干の変更は可とする。
1. 選手は競技場に入場する際、各選手のサイド(正面から見て赤は左側、青は右側 のコーナーから「一礼(立礼)」をしてから入場する。さらに競技場の場外スペースを前進し、競技エリアの各選手サイド、中央から「立礼(別紙にて規定)」を行ない、メインスペースへ入る(下図2を参照)。
2. 選手は競技場の中央にて、相手と約1.5m〜2mで、直立不動の姿勢で向き合い 主審の指示をまつ。
3. 選手は主審が「お互いに礼」と宣言したら、「立礼(別記に規定)」を行ない、左足か ら一歩を踏み出し、不動立ちで構える。主審の「構えて」の宣告で構え、「始め」の合図で競技を開始する。

 
 
 
 
 
       (図2)
第44条 選手の競技終了後は競技開始の位置で正面を向いて不動立ちで向き合い、主審の勝敗の宣告を受ける。
第45条 勝敗の宣告後、選手は互いに握手をし、競技開始の位置で互いに不動立ちで向き合い、選手双方が動きを合わせ、右足から一歩下がり立礼をする。その後回れ右で競技場を退場する。退場の際は、入場時と同様に「一礼(立礼)」をすること。選手は各選手サイドの中央から「立礼」を行ない、場外スペースへ出て、青サイド、赤サイドのコーナーから退場すること。

第2節 審判の所作

第46条 審判の競技場への入退場の所作を以下のように定める。

〈入場の所作〉

1. 入場の際、審判は選手の入場に先んじて、競技場に入場する。 2. 入場の際、審判員全員が、主審を先頭に競技場の赤サイドのコーナーから入場し、中央に主審を真ん中にして副審が左右均等に並ぶ。
3. 入場後、整列した審判員は主審の「正面に礼」の号令により、全員で「立礼」を行ない、競技スペースへ入る。
4. 入場の際、各審判は定位置に付き、選手の入場を待つ。
5. 入場の際、正面に向かい、競技スペースの境界線の前に主審を中央にして両側に副審が並ぶ(正面とは、役員席の方向とする)。
6. 退場の際は、中央に主審を真ん中にして副審が左右均等に並び、主審の「正面に礼」の号令により全員で「立礼」を行ない、競技スペースを出る。 7. 退場の際は、審判員全員が主審を中央に横一列に並び、一礼をした後、主審を先頭に順に赤サイドのコーナーから退場する。
8. 審判員の所作の詳細は別記を参照することとする。

  第3節 主審及び副審の宣告方法、所作、他

第47条 競技中の主審及び副審の宣告方法ならびに所作を以下のように定める。
1. 主審は競技開始時、所定の位置で直立不動により選手を待つこと。
2. 主審は競技開始時、選手を正確に所定の位置につかせ、「お互いに礼」と号令をかけて「立礼」を行わせる。「立礼」の後は、選手を一歩前に出させ、「不動立ち」で立たせる。その後、「構えて」と号令をかけ、「始め」の宣告により、競技を開始させる。
3. 「競技終了」の合図があった時、即刻「やめ」と号令をかけ、速やかに選手を競技開始の位置に正面に向かわせ立たせること。その後、選手の獲得点数をもとに勝敗の判定を行う。さらに選手双方に握手を促し、握手の後、選手を競技開始の位置に不動立ちで立たせること。
4. 審判員は「技有り」「反則行為」、他が見られた場合、副審は笛と旗により、それを告知する。また、主審は「止め」を宣告し、試合を一時、止めてから副審(補助審判員も含む)の宣告を確認し、審判の過半数の同意があれば、それを口頭、またはカードの告知によって宣告する。
5. 主審は副審が「技有り」「反則行為」、他を笛と旗により告知した場合、主審は必ず「止め」を宣告し、試合を一時、止めてから副審(補助審判員も含む)の宣告を確認し、審判の過半数の同意があれば、それを口頭、またはカードの告知によって宣告する。
6. 各審判員(主審も含め)は「技有り」「反則行為」を確認できなかった場合、「確認不能」と伝えなければならない。そして、有効な判定には、確認できた審判2名以上の同意が必要とする。その際、必要ならば補助審判員の意見も加えることも可とする。
7. 主審は、「技有り」の宣告を行う際、まず「やめ」を宣告し、選手を中央に戻らせてから行なう。「技有り」の宣告の後は、選手を競技開始の位置で構えさせ、「続行」と宣告し競技を継続させること。
8. 主審は、副審、または自らによる「技有り」の判断があった場合、必ず「やめ」を宣告しなければならない。その場合、なるべく速やかに行うこと。また、選手を中央に戻らせてから行なうこと。ただし、主審、副審の過半数の同意がなければ、「認めず」と宣告し、競技を続行させる。その際は、選手を競技開始の位置で構えさせ、「続行」と宣告し競技を継続させること。この場合の同意とは、「技あり」「反則行為」が「見られた」「見られなかった」という前提上の同意である。ゆえに「技および反則が見えなかった」という場合は、審判の同意が審判数の過半数に達していなくても、「技有り」「反則行為」の判定を行い、それを有効とする。なお、もし判断が困難な場合、審議委員に意見を求めること。
9. 主審は競技中、絶えず正面席に背を向けない形で位置を変え、選手の技が見え易いよう動きながら審判を行うこと。
10. 主審は、「注意」並びに「警告」の宣告する場合、「やめ」を宣告し、選手を競技開始線に戻してから宣告を行う。
11. 主審は、「一本」の判断を行う際、まず「やめ」を宣告し、選手の状態を確認し、選手の安全の確保を優先してから、宣告を行うこと。
12. 主審は選手の攻防が近間で膠着状態となった場合などは、「やめ」の宣告により、競技を一旦中断し、選手を競技開始線まで戻し、「続行」の宣告を行い、競技の再開をさせることとする。
13. 主審と副審は合わせて過半数の判定に従うこととする。ただし、主審に意義がある場合は全審判員を集めて協議し判定を決することができる。
14. 副審は、主審の技判定及び反則行為の判定を補佐する。特に主審の回し蹴りなどの死角を把握し、技を正確に見て、判定すること。
15. 副審は2人制の場合は、主審に向かい合うように、競技場の2隅に位置取ること。4人制の場合は、競技場の4隅に位置取ること。
16. その他、主審及び副審の所作の詳細は別記を参照とすることとする。

第4節 審判による勝負判定の宣告作法

第48条 競技における審判の勝敗の宣告方法について以下のように定める。
1. 主審は、競技終了のブザーが鳴ったら、「やめ」と号令をかけ、速やかに選手を競技開始の位置に正面に向かせて着かせる。
2. 本競技規程に則り、「勝ち」と判断される選手側の色の旗を90度上方に伸ばして、大きな声で「赤又は青の勝ち」と宣告する。
3. 主審の「勝ちの宣告」の際の所作は別記を参照することとする。 第6章 特記事項 第49条 競技において、瞬間的に相手の手首を掴むこと、拳を掌底で抑えることを可とする。
第50条 競技者並びに競技者(選手)の所属する団体並びにその関係者は、本規程を遵守し、競技に対する一切の不服を申し立てないことを誓約すること。 第51条 本規程はIBMA極真会館増田道場ならびに本競技規程の理念と目的を実現するために必要と考えられた場合は、その内容の改訂を行う。
第52条 本規程はIBMA極真会館増田道場の増田章の理念、哲学から考案された競技規程である。よって、著作権は増田章にあり、その理念、哲学と異なると考えられる場合の流用をしないことを誓約すること。また、無断で名称、他の転用、並びに類似の名称を使わないこと。また、無断で変更等を加えてはならない。
令和元年 5月22日
令和元年 11月6日 一部改定/28条/32条17項の追加/36条17項

 
 
 
 

備考

  • ヒッティング競技規定

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